だれが税金を払うんだ

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税は利益を受けた人が課税されることは言うまでもありません。これには、給与、不動産収入という、その人が一年間に稼いだ結果に対して課税をする場合と、相続や贈与により、財産を無償でもらうことで生じる利益に対する課税があります。

それぞれ課税される人は実際に利益を得た人のはずですが、世の中誰が税金を払えばいいのか解らないということが時として起こります。

■名義は違うが私の不動産

質問者 現在住んでいる自宅を売却しようと考えています。実は、この不動産を購入するときに組んだ住宅ローンの返済の半分を妻が毎月負担しています。

しかし、登記上は私の単独所有となっているため、売却代金は私が100%もらってしまうことになります。この売却で少し利益が出るのですが、どのように申告すればいいのでしょうか。

回答者 なぜ、不動産の購入時にご夫婦の共有名義にして登記しなかったのかは分かりませんが、結論から言うと、奥様がこの不動産ローンの支払を、ご主人と折半して行っていたことが立証出来るのであれば、奥様は登記上の名義はどうあれ、奥様がこの不動産の半分の実質的な所有者であることは主張できます。

奥様が、この不動産の実質的な所有者であるなら、売却することで生じる利益も、売却で残った資金も、その半分は奥様のものとなります。したがって、奥様がこの不動産の半分の所有者として申告することになります。

不動産の登記上、奥様が登場しないこのようなケースの場合、不動産売買契約書にも奥様は登場しませんから、外から見ていると奥様が登場する余地がないように見えますが、税は、その実質に沿って課税することを基本としているため、このようなケースの場合には、奥様の過去の貯金通帳から主人のローン返済口座に送金されていることを示せばいいのです。

■契約関係で異なる課税

質問者 私が就職した時に父親が契約してくれた養老保険があります。満期時には1000万円が払い戻されるものらしいのですが、私の結婚を契機に、毎月父が負担していた保険料を私が負担することになりました。何か気をつけることはありますか。

回答者 お父さんが子供を被保険者、満期保険金の受取を子供にしているようなケースの場合、保険事故もなく満期を迎えると、子供に満期保険金が支払われるため、お父さんが負担した部分の満期保険金相当額については、父から子供への贈与となり、子供に贈与税が課せられることにあまり疑問を生じません。

しかし、満期を迎える前に、父から子供に契約者変更をしますと、今まで支払った保険料分が贈与となりそうなものですが、この時点では贈与税の課税はされません。

かなりの額の保険金を支払っているにも拘らず、この時点では課税されないのは納得できないかもしれませんが、贈与税の課税が忘れられているのではありません。

すなわち、お父さんから保険契約者の地位を引き継いで、満期金の支払がなされた時点で、お父さんから子供に満期保険金を贈与されたとされるのです。契約者変更は注意が必要です。

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