後から相続人が出てきてさあ大変

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遺産分割協議は、専門家でもなければ、一生のうち何度も経験することはないでしょう。

しかし、両親に多額の財産があると無いとにかかわらず、殆どの家庭では、両親の残した財産の配分を決めるためには、相続人間で必ず話し合いをしなければなりません。

ところが、経験がないばかりに、思いもよらない失敗をし、後々面倒なことになることも多々あります。

■相続人が後から出てきた

相続の手続は、大きく分けて①相続人の確定、②相続財産の確定、③相続財産の配分ということになりますが、最初の相続人の確定でつまずくと、事後処理が大変になることがあります。

相続人の確定とは、そもそも誰が相続をする権利と義務を有するのかを確定する作業です。

亡くなられた方の法定相続人全員で遺産分割協議書を作成し、財産の配分も終了したにもかかわらず、小さい頃に養子に出されていた子が異議を申し出てくるというような場合も稀ではありません。

相続手続きの基本中の基本のことですが、誰が相続人であるかを確定するために、被相続人が出生したときからの戸籍を追跡し、相続人に漏れがないかを調査します。

預貯金の名義変更のために専門家を使わず遺産分割協議書を作成したような場合、戸籍を取ってみたところ養子に出された子や、先妻との子との間の子などが現れてくることもあります。

一部の相続人を排除して遺産分割を行ったときには、それ自体が無効になるばかりか、再度分割協議書を作り直す必要が生じ、分割してしまった財産についても不安定な状態となってしまいます。

相続手続きの基本であったとしても、普段付き合いのある人だけが相続人であると勘違いするのも仕方のないことです。しかし、法律は厳格な手続きを求めているため、生半可な知識は禁物です。

■家庭裁判所に行かなくても

被相続人が多額の借金を残したような場合、相続開始を知った日から三カ月以内に、被相続人の最後の住所地を所管する家庭裁判所に申し立てることにより、相続の放棄をすることができます。

相続放棄の手続きをしますと、被相続人の相続に関して、最初から相続人でなかったことになります。

したがって、借金だけでなく、プラスの財産についても相続できないことになるため、放棄の申し立ては慎重を期す必要があります。万が一、多額の財産が見つかっても後の祭りということにもなりかねません。

ところで、相続人の中には、相続財産は残りの兄弟で分け、自分は相続の放棄をするという方もいます。

プラスの財産のほうが多い場合でも、相続放棄である以上、家庭裁判所に申し立てると確実に放棄はできます。

しかし、家庭裁判所に厄介をかけるまでもなく、遺産分割協議書に、相続放棄したい人に対する財産の配分を記載しなければいいだけなのです。これをゼロ分割といいます。

なお、被相続人が掛けていた生命保険の保険金は、保険金の受取人の独自の財産であるため、この相続人が相続放棄したとしても、保険金を受け取ることはできます。

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