相続税の仕組みを知る(その1)

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■相続人は何人?

財産の多少にかかわらず、身内に不幸があると、その亡くなった人が残した財産を誰かが引き継ぐことになります。相続の手続きは、誰が相続人であるかを調べることからスタートします。

数の上では、配偶者と子供だけが相続人となるケースが圧倒的に多いため、相続人を確定することに労力をかけることはないのですが、中には、家庭の事情で相続人の確定に手間取ることもままあるのが現実です。

相続税が課せられるほどの財産を残されるケースでは、この相続人の確定は申告期限と納税を考慮すると、のんびりすることはできません。なぜなら、親族間で遺産をどう分けるかを、申告期限までに確定しないと、相続税上の税額軽減措置を受けられないケースが生じるからです。

また、相続税を計算するうえで、相続人の数は税額に大きな影響を与えます。相続税を計算する過程で、相続案件ごとに基礎控除が設けられています。

基礎控除の金額は、3000万円プラス600万円×法定相続人の数で計算され、たとえば一般的な家族構成の場合、配偶者と子供二人として、3000万円プラス600万円×3人で4800万円が相続税課税上のボーダーラインとなるのです。

なお、再婚をされた方や、戸籍を住所移転の度に異動された方の場合、この相続人の確定をするために、出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要になる場合があるため、複雑なケースの場合には、相続人の確定は司法書士や弁護士のような専門家に依頼した方がスムーズに事が進みます。

■財産は何処にある?

相続人が確定できたとしても、亡くなった人が何を残したのかを知ることはなかなか大変です。

几帳面な人なら、自分の財産を一覧表にしてくれているかもしれませんが、多くの場合、預貯金や有価証券、不動産ですら残された財産の全てを把握することは、実務的には不可能に近い作業になります。

しかし、それでも相続税を課されるような相続の場合には、個人が残した書類から、相続財産を把握していくしか方法がないのです。

仮に、相続人が把握していない財産が後の税務調査で発見された場合、解らなかった財産が発見されてうれしい半面、中には多額のペナルティーを課されるケースもあり、財産調査はいい加減にはできません。

もちろん、一般の人の調査能力には限界があります。そのため、比較的多額の相続財産が残されるような相続の場合、相続税が課されないとしても、財産を探し出すために専門家に依頼して相続財産の確定作業をしてもらった方が、結局、時間とお金の節約につながることが多いのです。

また、相続税上は相続した財産の評価は時価となるため、購入した時には一00万円程度だった土地が、いまや一億円以上しているというようなことも珍しくはありません。

全ての相続財産を洗い出し、それぞれの財産の時価を評価していく作業は根気のいる作業ですが、適当な評価をすると、ここでもペナルティーが課せられることがあり、素人判断は禁物なのです。

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