相続直前のあなた

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1直前

相続のために今何を準備するのですか

身内の死亡、何をどう準備したらいいのかわからない。お金は、相続は?

質問

 家族が亡くなるという初めての事態に、何をどうすればいいのか全く見当がつきません。

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回答

 人生で、人の死に接することは多々あります。親族、先輩、友人、ご近所など社会との関わりを持っている限り避けられません。
 
 しかし、それが自分自身のこととなると、何をどうすればいいのかなかなか思いつかないものです。だからこそ、先人の知恵に耳を傾けることが一番です。
 
 ご自身で調べて解決することも可能ですが、そこはプロ、必要最小限の労力と最短のスピードで正確に問題を解決してくれます。コストがかかっても結局、時間とお金の節約の近道です。

 つまり、皆さんが準備するべきはできるだけ早く専門家のアドバイスをもらうことです。

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ポイント

 専門家が知りたいことは、現実に起こっている事実と依頼者の意向です。専門家は皆さんから、それらの情報を受け、相続や税金の支払いの最適なプランを設計するのです

解決ポイント

相続は経験がものをいう仕事です。本を買ってきて読んでも、何が大切か、何を省略してもいいのか判断するにも、時間が足りません。

金融機関がロックされる

自分たちのお金が、銀行から下せなくなる。何故だ、どうすればいいんだ?

質問

 祖父が亡くなる前に諸費用に充てるために、銀行からお金をおろしておきたいのですが、後で問題になりませんか。

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回答

 親族が亡くなると、入院費用の精算や葬儀費用など、まとまった出費が生じます。

 遺族に資金的余力がある場合には兎に角、できるだけ亡くなられた方の預貯金から資金を用立てたいと思うものです。

 もし、親族が亡くなられたことを金融機関に伝えますと、金融機関は亡くなられた方の口座が入出金できないようにロックをかけてしまいます。

 そうなると、まとまったお金を引き出すことはおろか、年金の振込み、水道料金の引き落としもできなくなり、残された方の生活に大きな不便が生じることとなります。
 
 そこで、金融機関には親族が亡くなったことを隠して出金するか、お亡くなりになる前に出勤する選択をしなければなりません。なお、金融機関に相談すれば、葬儀費用程度の引き出しは認めてくれるようです。

 また、早目に相続に戸籍謄本や印鑑証明などの相続に必要な書類を準備できるのであれば、預金の引き出しは可能です。

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ポイント

キャッシュカードでの出金であれば、出金時にあまりストレスはありませんが、日頃からそのカードの暗証番号を聞き出しておく必要があります。

解決ポイント

 銀行に黙ってお金を下す、遺族全員が了解していれば文句はないでしょう。

早めに財産をもらう

預金を下しても、現金という財産が残り、それも相続財産です。

質問

 父親の銀行口座から早い目に預金を下ろしておけば、相続財産にはならないのでしょうか

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回答

 お気持ちが分からないではありませんが、相続発生の直前に金融機関の口座から引き出された預金は、一旦相続人の手元にお父さん所有の現金となるだけです。

 その現金を相続発生までの間にお父さんが費消した事実がなければ、何処かにお父さんの相続財産としての現金が隠れていると見られるのです。

 相続財産の配分時や相続税の申告時にあらぬ疑いをかけられないためにも、相続発生直前に多額の現金を引き出すことはお勧めできません。

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 実は、相続発生の直前での預貯金の引き出しだけが問題になるわけではありません。過去数年遡って預金通帳を見ると、使途が分からない引き出しが散見されるという場合があります。このような場合は、内容を把握しておく必要があります。

解決ポイント

預金を下せば通帳に痕跡が残ります。生前に費消しているのであればともかく、現金で残っていれば、相続財産ですね。

直前に不動産を買う

相続税をできるだけ少なくしたい。多くの人が願うことです。天使のように繊細に、悪魔のように大胆に。しかし、借金をして不動産を買うのは、将来に大きなリスクも相続させる。

質問

借金をして不動産を購入すると、相続税が大幅に低くなるといわれましたが本当でしょうか。

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回答

仮に、賃貸アパートを5千万円で建築すると、相続税を計算するときの評価額が5千万円ではなく、だいたい2千万円程度まで下がります。

したがって、その評価の差額3千万円が、相続財産から消えるため、相続税が安くなるということです。

この時、購入資金を手元資金で購入すれば、相続する預貯金が5千万円無くなり、評価額2千万円の建物が残ります。

一方、借金で5千万円を用意すると手元お金は無くならず、借金5千万円が残るため、結局、相続財産は3千万円マイナスされることになります。

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ポイント

相続の直前、借金をして評価額2千万円、売買価格5千万の賃貸用不動産を購入しても、同様に財産は3千万円減少します。

しかし、注意がいるのは、借金をして賃貸用不動産を買っていいのは、絶対に不動産価格が値下がりしないこと、家賃収入が投資金額に対して年率15%が確保されていること、利息が絶対上昇しないこと。これぐらいでないと投資できません。

不動産投資もビジネスです。手元資金での不動産購入であれば、建物の維持費以外のリスクは背負いません。借金はくれぐれもご注意を。

解決ポイント

借金までしてアパート投資という相続対策は、皆さんがすべてのリスクを背負い込むということ。金融機関も、不動産会社もリスクゼロであるということを心したほうがいいでしょう。。

1千万円の相続税のために、5千万円のリスクを負う、更地か貯金のほうが賢明です。

財産を残す人の意思を今からでも

相続を揉めさせないために遺言書を書くというのが一般的。しかし、遺言書がかえって、親族間の不信を招く結果に。

質問

私どもの家族は、仲もよく相続財産のことでもめるとは思いません。しかし、将来のために何かしておいたほうがいいのでしょうか。遺言書とか。

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回答

すべてのご家族の相続で揉めているわけではありません。揉めた時に大変なことが起こっているから目立つだけです。

もちろん、お子様がいないとか、再婚している場合など、人間関係が希薄な方が相続人に登場する場合などは、改めて良好な人間関係を構築するのが大変ですから、遺言書は必須です。

ところが、もめ事の起こりそうにもない場合にまで、遺言書を書きますと、却って波紋を起こす可能性が出てきます。

良好な人間関係がある間に、御本人が自分の言葉で意思を伝えて上げること、それがご家族の幸せのためなのです。

もちろん、シャイなのが日本人、家族会議の設営を専門家に頼むというのも一法でしょう。

ポイントへ

ポイント

争族というような言葉にあおられてはなりません。家族の絆を強めるのは、財産を残すご自身の役目なのです。最後までその想いを持ち続けてください。

解決ポイント

何でもかんでも書類で残す。法律的にはそれでいい。しかし、書類がなくても通じるのが人の心です。
財産を残す人は、元気なうちに親族に直接意思を伝えるべきなのです。こっそりというのは、不信を招くものです。

親族名義の預貯金どうする

祖父母や親が、孫と子供のために預貯金を残してくれることがあります。名義は孫の名義になっているものの、その存在を全く知らなかったということがあるものです。相続ではこれらの預貯金は、誰のもなのか問題となることがあります。

質問

父が孫のために、毎年110万円づつ郵便局で貯金をしてくれています。ただ、父がその通帳と印鑑を持ったままとなっており、何時か問題になるのではないかと心配です。

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回答

いいおじいちゃんですね。お孫さんに毎年贈与税の枠内でお金をプレゼントをする方は案外多いようです。

毎年贈与したお金ですから、当然おじいちゃんのお金ではないはずですが、問題はそれをお孫さんが使っていない可能性がある点です。

お金を贈与したといっても、それがまだあげた人の手元に残っているということは、いまだに贈与されず、本人のお金ともとられかねません。

したがって、お金をあげたのなら、本にの手元かお孫さんの父母の管理下に置くようにするべきです。

贈与ではなく、相続時点でおじいちゃんの相続財産とされる可能性があるのです。

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ポイント

貰ったものを、もらった人に預けておくということはおかしいですね。孫さんだったら、おじいちゃんと親権者である親が、おじいちゃんと贈与契約をし、お金の管理もするべきです。したがって、放置されているのなら、至急、お孫さんのためにそのお金を使ってあげてください。

解決ポイント

毎年の贈与税の非課税枠を使って、孫の名義で貯金を郵便局で積み立ている場合、通帳と印鑑の保管も孫がしなければ贈与したことにはならない。つまり、相続の上では亡くなった人の相続財産として分割の対象となり、相続税上も課税される。

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