相続税も準備次第で負担が軽くなる

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■相続までには時間がある

わが国では相続税を支払うケースが死亡者の10%未満です。この数字には、資産家の方だけではなく、サラリーマンの中でも、比較的金融資産を多く持ち、先代から引き継いだ自宅不動産を所有される方も入っています。

事実、税の専門家が受託する相続税申告の多くは、サラリーマン家庭からの依頼が相当な割合を占めています。それだけ、相続税が資産家の人たちだけの税ではなくなってきているということなのです。

ところが、主に給与で生活する人にとって、ある程度のまとまった資産が残された場合、生活感覚からかけ離れた額の相続税に接することがあります。それだけに、できれば相続税の負担が少なくなる方法がないかと考えたくなるのも、仕方のないことのように思えます。

相続税は給与から天引きされる所得税や、会社が支払う法人税と異なり、事前の対策を講ずることで、個人の財政破たんを起こすような事態は避けることが可能な税です。

平均寿命を考慮すれば、あと何年程度は生きられるということは計算できます。残された時間の中で、相続税の対象となる財産をご夫婦で費消してしまうこともできますし、金銭を保険の権利や不動産という評価の低くなる財産へ切り替える時間的余裕があるのです。

また、計画的にお子さんや、お孫さんに金銭の贈与を続けることで、生前に相続財産の一部は、親族に移動させることも可能なのです。

■残すものは自由に選べる

相続税の計算をする場合、最も難しいのが、財産の評価です。相場で購入した土地建物でも、相続税上の評価は半分程度で評価される場合が多く、さらにその土地建物を第三者に賃貸すると、さらに減額評価がなされて、結局購入金額の40%程度の評価になる場合があるのです。

しかし、お金は相続財産として5000万円残せば、相続税上の評価はそのまま5000万円なのですが、生前にそのお金で賃貸不動産を購入すれば、場合によっては2000万円程度まで相続財産が目減りしてしまうという現象も起こるのです。

つまり、何を相続財産に残すかによって、相続財産額が大きく変動し、結果、相続税額も大きく変動することになるのです。

生前に取得したお墓は相続財産にならないために、お墓をいずれ建立するのであれば、生前に自己資金で購入することで、相続税の対象となる金融資産が減少することになります。相続税を支払ってから建立するのとでは大違いとなります。

また、将来値上がりすることが確実な不動産や会社の株式などは、早いうちに相続予定者に贈与や売却することで、将来の値上がり益相当に対する相続税の課税は避けることがでます。

このように、何を相続人に残すかということを考える時間的な余裕があれば、できるだけ相続評価額が少なくなる財産にシフトし、早期の相続人への贈与が可能となるのです。

そして、早めの相続税に対する準備は、相続人への心遣いでもあるのです。

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