相続税の申告をする人は少数派

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  • ■相続税対象は10%未満

わが国で、一年間に死亡する人数は約120万人といわれています。人口の1%弱です。また、その約百万人の死亡者のうちで相続税の申告の必要な相続財産を残す人はどれくらいかというと、10%未満といわれています。逆にいえば、死亡者の大半は、わが国の相続税とは無縁の人たちということになります。

ところが、相続税という国税を納める人はほんの一握りの人であったとしても、相続人である実に数百万人という人たちが相続という煩雑な手続きに遭遇しているのです。相続が発生すると、相続人の間での遺産の分割手続、預貯金の名義変更、保険金の請求、不動産の名義変更や借入金の引継ぎなど、種々雑多な手続きで振り回されることになります。

サラリーマン家庭の相続でも、お子さんがいないケースや、多額の借財のある場合など、さまざまな事情のもと、知らないことばかりに手こずりながら、手探り状態で多くの時間と労力を費やしているのが現実なのです。一生のうちに一度あるかないかの相続について熟知している人などほとんどいないといっても過言ではありません。

■大仕事

相続税を支払う程度の財産を残す人なら、会計事務所や法律家との付き合いがあるということも考えられます。しかし、サラリーマン家庭にはそれら専門家と接点を持つことはほとんどないのが現実で、すべての手続きを自分でこなさなければならないのです。

そこで、相続が発生すると、否が応でもその渦中に放り込まれてしまい、仕事や家庭生活の多くの時間を各種の手続きに費やさざるを得なくなるのです。さらに、亡くなった方が自分の相続財産に対して明確な意思表示を文書(遺言書)で残さない場合がほとんどですから、法定相続人は、相続財産を全員の話し合いで分配することになります。

すべての家族が良好な関係にあるわけではありません。また、これまでどれだけ仲のよかった家族であっても、相続財産の分配をめぐって時には醜いいさかいが生じてしまうことすらあるのです。財産を残した本人はそのような揉め事を意図したわけではないでしょうが、結果として家族の絆をなくしてしまう結果を招くこともあるのです。

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